TOP > 博多通りもん誕生秘話

博多通りもん誕生秘話Secret Story

お菓子づくりへの
こだわりから生まれた
「博多通りもん」

1993年3月8日に誕生した「博多通りもん」ですが、実はその誕生までには明月堂のお菓子づくりに対する
「こだわり」ゆえの苦難と長い道のりがありました。

博多通りもん発売当時のチラシ

お客様の声に動かされてプロジェクト始動

博多西洋和菓子を次々と発表する明月堂。
発売当初は好評を得るものの長続きがせずに
ヒット商品となるものはなかなか生まれませんでした。

ゴールの見えないまま、新商品を作り続けなければならない博多西洋和菓子は
しだいに経営を圧迫しつつありました。焦りと疲労が日毎に影を落とすようになり
そんなとき、お客様から饅頭を食べたいというリクエストが寄せられているという声が、
現場の店長から上がってきます。

「饅頭が食べたい」の声は心地よく響いたのです。

博多じまん
明月堂かすていら
博多通りもん製造の様子

まだ誰も食べたことのないまんじゅうをつくりたい。

当時、二代目社長・秋丸卓也の考えはこうでした。
「福岡にはすでに全国でも屈指の饅頭がある。
そこに後発で挑んでも勝てる見込みはない。
それに、せっかく新しい取り組みを始めたのに、
安易なお菓子づくりに向かいたくない。
まず最初にリサーチをかけ、今どんなお菓子が支持されているのかを調べました。
次に、日本中の有名な饅頭を徹底的に調べました。
そして、3つの課題を掲げて饅頭づくりをスタートさせたのです。

  1. 日本中どこにもない
    饅頭を開発する
  2. 日にちが経つほどに
    美味しくなる
    饅頭をつくる
  3. 材料はできうる限りの
    最高の物を使う

開発スタッフの表情がいつも以上に厳しく引き締まったといいます。
この条件は饅頭を諦めろと言っているようなものだったのです。
しかし、お客様が感動してまた食べたくなる、そんなお菓子を作りたいと思う卓也にとって、
それは絶対譲れない条件だったのです。社内一丸となって誰も食べたことがない饅頭づくりが始まりました。

最高の材料に徹底的にこだわる

開発スタッフが最初にこだわったのが材料の選定です。
子ども達でも手軽に購入できる価格の饅頭が理想でしたが、
販売価格に合わせて原材料の質を下げるようなことはしたくないという思いがありました。

バターは、国産の脂肪分の高い特別なバターを探してきて採用しました。
他のフレッシュバターと比べると水分が少ないのに口に含むとさらりと溶ける、こだわりのバターです。
生クリームも、上質なものを使用。
卵は、健康的に育った鶏の卵の中から、特に新鮮で黄色が鮮やかなものだけを選びとりました。
また、白餡の原料となる手亡豆(白いんげん豆)は、大切に育てられた豆の中から、
さらに色、艶、かたち、そして粒の大きさがそろったものを選りすぐって使用しました。
つぶして餡にしてしまうのだから豆の見た目や大きさなんて関係ないと感じられるかもしれませんが、
微妙なかたちや大きさの差が、餡の味を大きく左右します。
かたちや粒がそろっていると味にムラがなく、ふっくらとした煮豆ができ、そこから上質な餡が生まれるのです。

最高の材料が集まりましたが、よい材料で作っただけの饅頭では満足できませんでした。
「材料をまねしても同じお菓子をつくることができない」
そんな独創性が二代目社長・秋丸卓也は欲しかったのです。

バター
卵
生クリーム

それからは、寝ても覚めても
饅頭、饅頭という日が続きました。
試作と試食を繰り返す日々。
それでもあきらめる者は、誰一人いませんでした。

博多通りもん

そんなある日、
当時、営業本部長であった純一郎が
たくさんある試作品の中から
たったひとつ、
変わった食感の饅頭を見つけ出します。
皮と餡がしっとり溶け合ったそれは、いままでの饅頭の常識を覆すものでした。
それまでの饅頭は、時間がたつと皮と餡が分離してしまうのがあたりまえ。
しかし、新しい饅頭は時間がたつにつれ皮と餡が馴染んでいくのです。

傑作饅頭「博多通りもん」ついに誕生

「できたても美味しいが、時間が経つにつれてもっと美味しくなるとは、こりゃ傑作だ。」

このときに出た言葉が、テレビコマーシャルでもお馴染みの「傑作まんじゅう」というフレーズに生かされています。
素材、レシピ、焼き加減、気温や湿度、熟成時間、そのいずれが欠けてもこの饅頭はつくれませんでした。
まさに、偶然が重なり合って生まれたのです。

果たして皆様に迎え入れてもらえるだろうか?
自信に少しの不安が入り交じるなかで、1993(平成5)年、「博多通りもん」はお目見えしました。

博多通りもん

【博多通りもんの由来】

例年5月3日・4日に行われる福岡・博多名物のお祭り「博多どんたく」。
明治時代の流行語でもあったオランダ語の休日「ゾンターク[Zondag]」がなまって「どんたく」という博多弁になりました。
その行列の中で、このどんたくをしている姿、すなわちどんたく衣装に身を包み、三味線を弾き、笛や太鼓を鳴らして練り歩く人たちを博多弁で「通りもん(とおりもん)」と言います。
ミルクの香りがする、ハイカラな衣装で身を包んだまんじゅうはまさに「博多通りもん」の名がぴったり。こちらが「博多通りもん」の由来でございます。

1993年(平成5年)3月から販売された博多の傑作まんじゅう「博多通りもん」。
当社の看板商品として急成長できたのも、皆様おひとりおひとりのご愛顧のお陰です。
これからも”ベター&ディファレント”の精神で博多西洋和菓子をお届けしてまいります。

博多通りもん商品一覧

株式会社 明月堂(めいげつどう)